開催趣旨

昨今のネットワーク、特に R&D ネットワークは、10Gbps 級の回線を用いるな ど、従来では考えられなかった帯域で運用されるようになってきています。しか し、特に国際的な大容量のデータ転送を考えた場合、遅延時間は変わりませんか ら、効率的な転送を行うのはそれほど容易ではありません。さらにセキュリティ 上の問題にも対処する必要もあり、データ転送を含むアプリケーションの効果的 な実行には、ネットワークの運用や計測、プロトコル技術、実装技術などとの円 滑な連絡が必要不可欠になっています。

我が国を起点とした広帯域ネットワークとしては、 SuperSINETJGN2TransPACIEEAF などの回線が 米国に対して 10Gbps 級で、また、 玄海プロジェクト等による韓国の KOREN や KOREN 経由で KREONET2 に至る回線 が Gbps 級で運用されている他、 台湾へも Academia Sinicaが運用する 600Mbps の回線があります。さらに、600Mbps 級の帯域ではありますが、 Singapore や Hong Kong 経由でヨーロッパへ到達する TEIN-2 も運用されています。 TEIN-2 はさらに Singapore や Hong Kong を拠点に、Singapore の SingaREN、Thailand の ThaiREN、Indonesia の INHERENT、Malaysia の MYREN、 Vietnam の VINAREN 等の 各国の教育研究ネットワークが 45Mbps〜150Mbps で接続されている他、 中国の CERNETCSTNET も Gbps 級の回線で TEIN-2 Hong Kong に接続されています。また、Philippines の PREGINET は東京から 150Mbps で接続されています。

このようにアメリカだけではない多くの国々に広帯域の研究・教育ネットワー クで接続性が得られるようになってきていますが、国際的な共同研究や実験、 デモンストレーション等の開催には、国際的な複数のネットワークの運用者と 研究者の密接な協力・調整が不可欠になっています。単に電子メールで連絡を 取り合う、web や CVS を共有する、ということでしたら、あまり苦労はいら ないのかも知れませんが、いろいろな分野での研究では、次のようにネット ワークを使いこなす必要がある場面も少なくありません:

このようなネットワークの高度な利用に関しては、ネットワークの運用者のみ ならずネットワークの研究者を巻込んだ体制が必要になってきます。各分野の 研究者は本来その分野でのお仕事に専念し、必要になるネットワーク上の サポートや将来の発展に関してはネットワークの運営者やネットワークの 研究者がお手伝いすることが好ましいと考えられます。これによって、 ネットワークの運営者は将来の研究・教育ネットワークの計画を立てていく 上で重要なフィードバックが得られ、またネットワークの研究者は、実際に 発生している問題に立脚した研究テーマが得られるという副作用もあります。

また従来は、ネットワークを使って同様な活動をされていた異分野の研究者 は、それぞれで大変なご苦労をされてきていましたが、ネットワークを利用 するという立場を同じくした異分野の研究者が集うことによって、これらの 間の成功例・失敗例などの情報交換も可能になります。

ADVNET2007 は、2006 年 1 月に仙台で開催された「みちのくブロードバンド ウィーク」の一環として、JGN2 シンポジウムや JANOG 等の会議とともに開催 された ADVNET2006 のあとを受けて開催されます。ADVNET2006 は 100 名弱の方のご参加を得まして、盛況のうちに閉幕しました。懇親会の 席では、このワークショップは重要なので年2回開催するべきだ、とのコメン トも頂きましたが、会場等の関係もあり、概ね一年後の開催となりました。 ADVNET2007 は、ADVNET2006 と同じような枠組みで、2007 年 1 月に広島で開 催される 「Advanced Internet Tour in Hiroshima, 2007」 の一環として開催され ます。各方面からのご発表・ご参加をお願いします。またご都合が許す限り、 Advanced Internet Tour in Hiroshima, 2007 の他の会合にもご出席頂ければ 幸いです。

ADVNET2007 プログラム委員会