Title: ircd 2.11.0 の新機能 Author(s): 辰巳 智 (wide@tomocha.net) Date: 01/10/2005 1. ircd 2.11.0 の特徴 本章では ircd 2.11.0 で新たに導入された新機能のうち、特筆す べきものについて説明する。 ・Unique ID (UID)  今まで広く使用されていたircサーバでは、ユーザの識別に nickname が使用されてきた。しかし、ircd 2.11.0 では、 Unique ID が実装され、サーバ内部での識別に Unique ID が使 用される。Unique ID とは、ISO3166 countrycode、Server Number、Serial Number の9文字の組合せから成り立つ重複のな いIDが生成される。尚、ISO3166 countrycode、Server Number をセットで ServerID(SID) と呼ぶ。 ・Classless Inter-Domain Routing (CIDR) のサポート  bans、ban exceptions、invite lists に対してCIDRがサポー トされた。  例) mode +I *!*@192.168.0.0/28 ・reop hints  サーバreopチャンネルフラグ(+r)とは、! から始まる safe channel で使用することが出来る。そのサーバreopチャンネル フラグが立っているチャンネルで、オペレータ不在(opless)に なってしまった際、一定の法則に基づき自動でサーバからチャ ンネルオペレータ権限が配布される。これをサーバreopと呼ぶ。 この機能を拡張し、特定のユーザに対し、チャンネルオペレー タ配布する機能が搭載された。尚、この機能に関してもCIDRが サポートされる。  例) mode +R *!*@*.wide.ad.jp 2. 問題回避に使用されるUnique ID  Unique ID は、nickname が重複発生した際に代替 nickname として使用される。本来、IRC では nickname の重複は許され ないのにも関わらず、nickname の重複が発生した場合、公平に 両方のユーザがサーバから切断(nick collision)されるが、こ の仕様を悪用するユーザが少なからず発生するため、回避する ために実装された。このようなことが発生する理由は、サーバ 間接続が分断(split)した後、サーバ間接続が復帰したときに稀 に発生することが有る。  また、IRC では、nickname の最初には数字が使用できないと いう制限がある。しかし、Unique ID は ISO3166 Countrycode から始まるため、数字で始まる。これは例外的な扱いになり、 他のユーザが詐称できないことを示し、第三者が Unique ID を nickname として名乗るできない。その為、Unique ID を nickname として使用することにより、server split を悪用し た nick collision を防ぐことが望める。 3. +beI の拡張  今まで、+beI を行う際、`nick!user@host' という形で記述 していた。その為、ircサーバ単位で bans、ban exceptions、 invite lists を記述することができなかった。その制限を克服 し、サーバ単位で bans、ban exceptions、invite lists を行 うことができるようになる。ircサーバに対して、必ず SID が 存在し、その SID もしくは UID単位で記述することが可能にな る。その為、特定のサーバだけを確実に射ること可能になる。 これは、サーバ内部で、nickname と UID が紐付けされており、 UID単位で記述することが可能になる。  例) mode +b 000A*!*@* 参考:  +b (ban)    チャンネル入室禁止ユーザ     +e (ban exception)   チャンネル入室禁止の例外    +I (invite list)   チャンネルへ入室可能ユーザ 4. ircd 2.11.0 に期待できること  ircd 2.10 までは、nick collision を発生させるために、 DoS攻撃を行う有害なユーザも存在したが、Unique ID が導入さ れることにより、DoS攻撃を行い、server split を発生させて も nick collision を発生させることができなくなるため、DoS 攻撃を減らすことが可能だと予想される。 -- Copyright Notice Copyright (C) WIDE Project (2005). All Rights Reserved.